

Ciao.
2月25日から3月3日に開かれた、09/10秋冬ミラノコレクションのレポートです。
僕はJIL SANDER のショー見学、またFENDIのバックステージアシスタントをさせて頂きました。金融危機の影響でしょうか、ショー会場のみならずミラノ市内に至っても外国人バイヤーの数は減っているようです。今、80年代には見られた、若い世代が次々に新しい時代を造るために新しい試みや挑戦をする姿勢が失われつつあります。そんな中、どうしたら自分達の世代がファッションデザイナーとして、世の中に貢献でき、新しい時代を造れるのか-。そんなことを考えながら望んだミラノコレクションでした。

モデルのヘアーデザインを仕上げている加茂さん(右から二人目)

緊張感が漂うショー直前のバックステージ

デザイナーへの熱い思いを語る志賀亮太さん
今回のJIL SANDERは、ミニマルスタイルとセラミックアートドレス。コクーンシルエットやアシメトリーフォルムで、90年代の要素を取入れていました。袖のニュアンスが見る角度で変化するシルエットが印象的でした。
次のFENDIのショーは、Fur(毛皮)がメインで肩と頭にバランスが置かれ、高級素材でまとまっていました。
今回のショーでは、幸運にもヘアーデザイナーの加茂克也さんと一緒に仕事をする機会に恵まれました。加茂さんは、雑誌、広告、歌手のヘアーデザインのみならず、CHANEL、JUNYA WATANABE、UNDERCOVER等パリコレクションを手掛け、常に斬新なアイデアを発信しておられる方です。僕は以前、NHK「プロフェッショナル仕事流儀」を観て以来、加茂さんのような一流の仕事の出来る人になりたいと思っていました。一緒に仕事をさせて頂けて本当に嬉しく、とても勉強になりました。
今回、印象に残っているエピソードがあります。加茂さんは最初、40分程度でFENDIのモデルのヘアーデザインを仕上げていました。しかし、一流ブランドのショーはトップモデルが多く、半数以上が他の会場から直接来るという分刻みのスケジュールで、ショー1時間前になっても全員は揃っていませんでした。そんな状況で、最後のモデルのヘアーデザインにかけた時間はたった10分程度だったと思います。必要なことを一瞬で判断する機敏な判断力、無駄な作業をとことん省く、速さと正確さ。また、皆が仕事をしやすいように、その場の空気をつくる人間性、など本当に感動の連続でした。
ショー直前のバックステージにはカール・ラガーフェルド氏が最終チェックのため訪れ、その後皆に挨拶されていました。僕にも握手をしてくれました。ラガーフェルド氏は、ファッションの世界の人間でさえ会う事が難しい人ですので、嬉しかったです。
今回のコレクションでは、今までのデザイナーとは違った視点、考察から行動していかないと、これからのデザイナーは注目されないという事を感じました。また常に挑戦し、継続しなければ未来には繋がりません。「未来の果を知らんと欲せば現在の韻みよ」とはよく言ったもので、目先の利益に囚われず、未来の自分に投資するつもりで、逆境や問題も含めあらゆる事を楽しんで乗り越えていく事が大切です。そして日々の積み重ねの研鑚が、デザイナーになる一歩となるのです。世界で戦える人材となれるよう、まずはここイタリアの人々の信頼を勝ち取ることが必要です。今日もまた、小さなことから、未来のために一日一日を全力で過ごします。
Grazie.arriverci.
志賀亮太