JFWと東京都の共催によるシンポジウムが、20日、東京・新宿の都庁・都民ホールにて開かれ、ファッション大賞入賞者・ファッション系の学生・アパレル企業関係者、約100名が聴講した。
このシンポジウムは、自立をめざす新人デザイナーやファッション業界をめざす学生に、漠然とした職業観を自分のものとして具体的にイメージさせるために企画されたもの。
専門家からのアドバイスや学生たちとの質疑応答が午後6時半から1時間半に亘って行われ、会場は熱気に包まれた。
シンポジウムは、
第一章:ファッション業界ってどんなとこ?〜どんな仕事があるのかまずは知ってもらう
第二章:こんな時代が間近にやってくる〜当たるか?パネリストの近未来予測
第三章:本当に欲しい人材 〜自分の将来設計と、なりたい職業
の3部構成で行われ・・・
文化服装学院 就職指導室室長補佐・増田恵一さん
繊研新聞 記者・吉川新吾さん
(株)オンワード樫山 人財開発部 長谷部彰さん
の3名のパネリストから、様々な意見や現場の実情を聞いた。
(司会はオンワード樫山ファッション大賞事務局長・中川淳郎)
パネリスト達の就職のきっかけでは、「長髪でいられる仕事」「楽しいことがやりたい」など、少々拍子抜けするくらいのコメントに、学生たちは社会人のスタートは理想と違っていても、やりたい事に近づくことが出来るのだ、という安心感を得たようだ。
現在の就職活動の状況としては、例年以上にまじめで勉強熱心な学生が多いとパネリストは指摘した。

写真左から、司会中川さん、オンワード長谷部さん
オンワード樫山・長谷部さんは、営業・企画・MDを経て人財へ。多岐に亘る業務の経験から、アパレル業界の展望を「一年先も読めない状況」とし、「今までは安易な物作りに走っていたが、これからは品質・価格・クリエーションの3つのバランスが大事。これらをうまく出せるブランドや会社が生き残る、淘汰される時代が来るだろう」と予測。
また繊研新聞・吉川さんは、「ファッションビジネスはアイデアと経営センスがあれば一人でも始められる。デザイナーであり、経営者でもある、というような多様性をもった人が強くなっていくのでは」という意見で、時代に合ったバランス感覚が必要不可欠となっていることを強調した。

左から文化服装学院増田さん、繊研新聞吉川さん
文化服装学院・増田さんは、教育現場から感じている事として、「技術面と社会人としてのマナー両方を教育する必要性」を語った。教育と就職支援は決してイコールではないものの、昨今の就職活動の実態から両方の指導が必要になっているそうだ。
また、今の学生たちの足りない部分として、「アイデンティティをもっと追求しよう」「知識は持っているが応用力が足りない」「自分たちの日常をもっとおもしろがることが必要」という意見が出された。
とても勤勉であるが、際立った個性に欠ける学生が多いと感じることがあるそうで、マナーを守りつつも、「ファッションを楽しむ遊び心 」が必要なようだ。
社会環境が厳しさを増す中、働く環境も急激に悪化の一途を辿っている。利益を出すことはおろか、売上げを作ることさえ厳しい昨今だが、こんな時代こそそれぞれの個性を爆発させた新しいアイデアを出して行動できたらいい、と感じるシンポジウムであった。


