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ARCHIVES 2018 AMATEUR CATEGORY

過去受賞作品 2018 年度 アマチュアカテゴリー

2018年のアマチュア部門は、世界7の国と地域からデザイン画5,328点の応募があり、一次審査で選ばれた25点の実物作品が制作されました。最終審査を9月中旬に終え、結果発表はJAPAN FASHION WEEK in TOKYO期間中の10月17日、渋谷HikarieホールAにてショー形式で披露され、各賞が授与されました。

 

最終審査・結果

大賞・文部科学大臣賞

Name:伊藤 里緒 / Rio Ito
School:中部ファッション専門学校
Theme:森林トリアージ

「トリアージ」=選別。「間引き、間伐」=森林が茂りすぎるのを防ぐため、木を切ってまばらにすること。人間による森林のリストラ。森の為にした良い事、と取るか、間引きされた木々を生贄、と取るか。それをテーマとした私自身の絵からインスピレーション。落とし込んだ「顔」の刺繍柄は一つ一つ違い、手作業で制作。勝者と敗者が入り交じる服。多くの切り替え、フリンジ等、立体的なシルエットを制作。

 

優秀賞

優秀賞

Name:伊藤 香苗 / Kanae Ito
School:名古屋モード学園
Theme:nuance

自然の力が紡ぎ出す美しい色彩からインスパイヤ。
人工的にはない、幻想的な美しさ、刹那的なアートを糸に置き換え表現。
自然が作り出す色彩は複数で表現されているため、糸を様々な色で染色し、数本の色味で撚糸することで、一色ではなし得ないオリジナルの色彩の絣糸を制作。多彩な糸の組み合わせで織り上げ、独特な表情・存在感のあるテキスタイルを提案します。

 

秀作賞

秀作賞

Name:ツァイ シェン/ Sheng Tsai
School:Fu Jen Catholic University, Taiwan
Theme:Illustration

私のファッションイラストの筆跡からインスピレーションを得ました。ヤーンを使ってペン、カラーペン、マーカーで絵を描くように新しい繊維を制作し、これらの試験材料を私の服に使用しました。まるで、私のイラストレーションのように見えます。

Name:小口 大輔 / Daisuke Oguchi
School:東京モード学園
Theme:瞬間的衣服

ブレイクダンサーの衣装を縫製した時の経験や感じた事をインスピレーションに制作しました。運動量の限界に達した衣服のドレープ感や、生で見るブレイクダンスの迫力や臨場感などを一枚の写真やスローモーション映像のような瞬間的に起きている一コマをイメージし、製作しました。

Name:金茂 美幸 / Miyuki Kanamo
School:大阪文化服装学院
Theme:GNAM

自然に飲み込まれていく租借音、GNAM
今にもその勢いに吸い込まれそうな中
私達のまとう服とは

Name:林 わかな / Wakana Hayashi
School:名古屋モード学園
Theme:Begins

宇宙の起源、無から始まる世界。ビッグバン理論にロマンを感じ、超高温高密度のエネルギーの塊を抽象的にとらえデザイン。世界の始まりの美しさを、多彩なレースを重ね、スラッシュキルトを作り、ホースヘアーで立体的に表現。

Name:グォ シャンリン / Hsiang-Lin Kuo
School:Shih Chien University, Taiwan
Theme:THIS IS ESCAPISM AT ITS BEST

最高のエスケープ。
都市住人のための究極の脱出計画。 冷たく渇いた空気、歌う鳥、新鮮な森林の薄霧のもつれた枝に輝く柔らかい日差し。保護過剰なキャンプ用具や衣類等を忘れて、もう少し自然に戻りたい。近代的な運動靴、ゴム、ニット、ハードウェアの素材を組み合わせたコンセプチュアルキャンプ服。

 

結果発表・講評(敬称略)

田山 淳朗 Atsuro Tayama(A.T ATSURO TAYAMA デザイナー)
素晴らしい作品をありがとうございます。受賞された方々おめでとうございます。 今回5人の審査員で5000枚以上のデザイン画を審査し、25枚を最終審査に選びました。個性的な、クリエイティブな、ダイナミックな、繊細な、素晴らしい作品が揃いました。 特に、グランプリを受賞された伊藤里緒さんは自分の心の中にある思いをテーマに作品を作られました。消えてゆく寂しさ、忘れられる哀しさ、その中で自分は頑張るんだ、そんなテーマを、どのような服で表現するのか楽しみでした。作品は、哀しみ、寂しさを人の顔の刺繍で表現するというテクニックで、その表現を全体に広げる、個性的で大胆な素晴らしい作品でした。伊藤さんは前回も入賞なさっている方です。続けていて良かったですね、おめでとうございます。ただ、今日は終わりではなく、全てのスタートになりますので、どうか日本のこれまでの素晴らしいファッションのパワーを検証していただいて、あと2年後に来る2020年代を自分の時代にするために頑張ってください。

 

一次審査結果

氏名(学校・Wはウィメンズ、Mはメンズのカテゴリー)/50音順

伊藤 香苗(名古屋モード学園/W)
伊藤 里緒(中部ファッション専門学校/M)
大口 美帆(名古屋モード学園/W)
小口 大輔(東京モード学園/W)
小倉 慎太朗(大阪モード学園/W)
金茂 美幸(大阪文化服装学院/W)
金 大清(東京モード学園/W)
白井 美樹(名古屋モード学園/W)
白髪 聖香(大阪文化服装学院/W)
鈴木 今日(名古屋モード学園/M)
鈴木 芹奈(名古屋モード学園/W)
鈴木 渚(大阪モード学園/W)
関根 萌南(国際ビューティファッション・
製菓大学校/W)

岳本 彩(東京モード学園/W)
中辻 桜永(大阪文化服装学院/W)
林 わかな(名古屋モード学園/W)
早田 賀音(大阪文化服装学院/W)
平野 沙希子(大阪文化服装学院/W)
ペンウォンシリ ペンワディ― (文化ファッション大学院大学/W)
水谷 透大(名古屋ファッション専門学校/W)
KUO Hsiang-Lin(Shih-Chien University/M)
KIM Kwun Hyuk(Suwon Univeristy/M)
CHOI Yujin(Samsung Art and Design Institute/W)
SHIN Eun Bin(Han Yang University/W)
TSAI Sheng(Fu Jen Catholic University/M)

 

一次審査・最終審査講評(敬称略)


一次審査中の審査員、左から順に髙島、児島、江角、青木、田山の各氏

田山淳朗 Atsuro Tayama(A.T ATSURO TAYAMA デザイナー)
今回の審査方法は、審査員の我々にとっては、非常に良かったと思います。時間も十分ありましたので、身近に見られて、話が出来て、何度も見て、触れて、後ろにも回ったり、とにかくよく見ることができました。それ故に感じたことというのがいくつかありました。外国からいらっしゃったふたりの台湾の方は、身近にあるものをデザインのインスピレーションにし、そこにあるものを非常に面白く表現していました。それに比べて日本の人は、心の中にあるものを表現しようとしていて、対照的だった。それが日本人と外国人の違いから来るのか、何の違いなのかは別にしても、その違いのおもしろさっていうのは非常に感じられて、外国の方に参加して頂くというのは見比べが出来て非常によかったと思います。

青木 規子 Noriko Aoki(繊研新聞 記者)
前回は、絶対この人っていう方がいらしたのですが、今回はいろんな意味合いでいいなと思うひとが複数いたのが特長で、ポジティブでユーモラス、そして自由な発想でテーマを決めて作り出し、個性的に仕上がっているものが多かったなという気がします。中でも、Kouさんみたいにニットスニーカーから発想してウェアを作っていく、そんなに難しいことを考えずに自分が好きなものを形にしていく、というモノづくりの根源的な事をやっていて、それが新しい服として提案出来ているのは面白かったと思います。あともう一つ、実は一次審査の時にそこまで意識してなかったけれども、震災の影響を受けて、「プロテクトをする」とか「ミリタリー」というものをテーマにしている人が意外に多かったことが大きな変化なのかなと思います。社会との関係性について考えを深めている学生が増えていたように感じたので、それがいいとこなんじゃないかと思いました。あと、装飾とかディテールに思いが行き過ぎて、全体的なスタイルを作りあげることが出来ていない人が何人かいたので、まずどこに向かって自分のスタイルを作りたいのかということを重視してモノ作りをすることが重要なのかなと思いました。

児島 幹規 Mikinori Kojima(装苑編集長)
今の若い人たちがどういったことを考えて感じて表現していたのかということを、直接本人に聞けるという審査だったからこそよく理解できて、楽しい審査でした。いい意味で作品を見るというよりは、デザイナーの個性を見る審査になった気がしていまして、バラバラの個性を評価するって改めて難しいなと思いました。凝ったディテールが全体のバランスを邪魔している作品がいくつかあって、近距離だけで綺麗なものを作ってしまうと、全体のシルエットが疎かになることが多いということは、自分なりに伝えてみたつもりです。デザイン画を選ぶ時、本当はシンプルなシルエット、美しさで勝負したものをいくつか選んでみたいというのがありましたが選べませんでした。個人的には、ぱっと見た時のシルエットの美しさとか服本来の華やかさみたいなものへ昇華したものも見たかった。自分のデザイン画が何で選ばれたかを制作前の候補者に伝えるのもいいかもしれません。

髙島 一精 Kazuaki Takashima(Né-net デザイナー)
今回、結構難しくて、他の審査員の方と同様、飛びぬけた作品が無かったって言うのは僕も同感で見ていたんですけど、選ぶ側もデザイン画の段階で見抜いて選んでいかないと、と改めて反省しました。デザイン画を描く技術は凄く成長して伸びているんですけれど、それをモノにする造形力がなかなかついていってないという部分が、一番感じることでした。また、コンテストの中のトレンドとか流行みたいなのが特に無くて、それぞれが個性的に作っているという部分では、ちゃんと若者が時代感を自分で汲み取って表現しているなっていうのも感じました。

江角 泰俊 Yasutoshi Ezumi(EZUMi デザイナー)
今回初めて参加させてもらって、僕はすごく勉強になりました。候補者さん達と直接話して、すごく個性があると感じたのと、デザイン画に対しては、いい意味と悪い意味での裏切りというのもありました。色々なジャンルの審査員の方がいるので、評価も色々あって、見るべきところが多いと改めて思いました。僕自身としては、服の要素だったりとか、どれだけ面白くしているかとか、あまり彫刻的になり過ぎると着られないよねとか、何処でいつ着るのかな、と言うのが気になる。また、同じ作り手として、うちのブランドに欲しいなとか、将来デザイナーとしてどう芽が出るのかな、とかいった目線で見ていました。そういう意味で、こうした方がいいよとアドバイスができたのは凄く有意義だったし、やっぱり個性が爆発していて面白かったですね。

 

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